音楽室設計にあたってのコンセプト
吹き抜けの大空間を活かし、豊かな響きを実現
高い遮音性能を実現した窓
リビングと視覚的につながる引き違いガラス戸
吹き抜けの大空間を活かし、豊かな響きを実現
高い遮音性能を実現した窓
リビングと視覚的につながる引き違いガラス戸
音楽活動が生活の中心になるため、間取りの設計時点で18畳もの広さを音楽室に割り当てたH様。さらに2層吹き抜けの天井の高い空間は、豊かな音の拡がりを感じます。
そこで、防音室工事でよく使われる吸音建材を最小限に抑えつつ、美しい響きを得られるよう音響設計を行いました。その最大の特徴が無垢板材をふんだんに使った天井にあります。 木はアコースティック楽器にも用いられるように 優れた音響特性がありますが、ここではもう一工夫加え、裏側に吸音層を設けて板振動による低音の吸音効果を狙っています。カーテンやカーペットなどの布状の素材では吸収しにくい低音を吸って、逆に中高音は温かみのあるやわらかい 反射音を返してくれます。
戸建住宅における防音性能は窓で決まる、と言い切っても良いほど、防音計画において窓は最重要ポイントです。H様のご自宅は閑静な高台の住宅地にあり、 音楽室の窓からは天気の良い日に遠く富士山を望むことができます。このせっかくの良い立地条件、良い眺望を、防音のためにあきらめてしまうのは あまりにももったいない。そこで、外壁側のサッシの内側に特注の木製防音窓を設置し、二重サッシとしました。ここでのポイントは、引き違い窓を使わずより気密性の高い開き窓か FIX窓を採用していることです。遮音性能は窓前1m地点における測定値でD'-60前後で、外では聞き耳を立てないとピアノの音は聞こえません。眺望もさることながら、陽光あふれる音楽空間が実現できました。
音楽室の隣には家族が生活するリビング・ダイニングがあります。お互いの空間を防音壁で仕切れば高い遮音性能を得られますが、お子さんが小さいためいつでも目が届くようにしたい、 また、コンサートなどで大人数が訪れたとき、ティータイムでは開放して使いたいという要望から、引き違いの二重サッシュで2つの空間をつなげました。
2室間の遮音性能はD-35で、決して高い性能ではありませんが、リビングで他の家族がテレビを見ていてもお互いの音があまり気にならず、また、ピアノの音がリビングを介して屋外へ漏れる心配もありません。