スタジオ設計にあたってのコンセプト
木造住宅でもドラム演奏が可能な遮音性能
バンドセッションでもよくわかる"互いの音"
本格的なレコーディングも可能なコントロールルーム
住宅メーカーとコラボレーションで無駄なく設計施工
木造住宅でもドラム演奏が可能な遮音性能
バンドセッションでもよくわかる"互いの音"
本格的なレコーディングも可能なコントロールルーム
住宅メーカーとコラボレーションで無駄なく設計施工
当社ではドラムを演奏するスタジオの場合、外壁前でD’-65等級以上の性能を推奨しておりますが、これは外壁前でまったく聞こえないという性能ではありません。
多くの場合クレームになるのは、自分の生活空間にまで演奏音が聞こえるからであって、隣のお宅の外壁前で聞こえる音に対して苦情を言う人はおりません。
S様のスタジオでは、外壁前でD’-70等級の性能が得られておりますが、外壁の前ではバスドラ、スネアの音は微かに聞こえます。
ですが、ここで漏れた音が近隣住戸の生活空間に達するころには、ほぼ聞こえなくなっていると考えられるため、実用上問題のない性能といえるでしょう。
スタジオには吸音パネルを7枚設置し、その全てが吸音面(ジャージネット布張)と反射面(無垢板張)を切り替えできる、リバーシブル型としました。
楽器の種類や演奏ジャンルなどによって部屋の響きを調整できるようになっております。響きは低音から高音までバランスよくまとまり、バンドセッションをしてもお互いの音が
よく聞き取れるため、ストレスを感じることなく演奏ができるそうです。
全体の設計の初期段階から関わることができたため、理想的な部屋のプロポーション(間口、奥行、天井高)の比率をしっかりと計画することができ、
定在波が顕在化することを避けております。これにより低音のクセの少ない、バランスの良い音響となりました。
またパネルの反射面、及びコントロールルーム側の壁には、住宅部分と共通の素材である北欧産パイン材を住宅メーカーより支給していただき、窓は無くとも、明るく温かみのある空間となりました。
プレイヤーとしても類稀な腕前を持つS様ですが、最近は曲作りから編集作業まで行うようになったとか。
そのため将来本格的なレコーディングができるように、スタジオに隣接するかたちで4.5畳のコントロールルームを設け、Protoolsを導入しました。
狭いスペースを有効に使うために、吸音パネル上部に本棚を設けた他、間口いっぱいの造り付けのデスクを設けております。
住宅メーカーと協力して一緒にスタジオを作っていくことを、当社ではコラボレーション工事と呼んでおります。
この場合のメリットは先述の通りですが、設計においては
・間取りの配置計画や、窓や外壁の仕様を、遮音性能上有利なように計画しやすいこと
・全体の設計の初期段階から行うことで、音響的に理想とされる部屋のプロポーションの比率に計画しやすいこと
また、施工においては
・住宅メーカーが施工可能な箇所を打ち合わせることで、余計な工事が発生しないこと
・住宅部分と共通の材料を住宅メーカーから支給してもらえることで、余計な材料の調達が発生しないこと
などによりコストパフォーマンスに優れている点などが挙げられます。
今回の場合も、住宅メーカーとの密接なやりとりを経た結果、合理的で無駄のないスタジオ造りができました。
東京に比べれば住宅同士の間隔が広い地方都市ですが、ドラムのような大音量を発生する楽器の場合、やはり防音工事が必要不可欠であるということは、疑いようがないことと思います。
とはいえ、自分の住んでいる街では、そのような専門工事をやってもらえないのではないか…そう思われる方も多いと思います。ですが、現在では全国各地での施工実績があり、ほとんどの場合、現地業者での施工体制が整っております。
S邸は仙台市郊外の住宅街ですが、防音工事を何度も手掛けた現地職人にやってもらったため、失敗や間違いもなく、問題なく工事が終了しました。